日韓貿易問題のガキスケの考察。大国に揺れる韓国の苦悩。
今回の日韓貿易問題は、徴用工に端を発した側面はあるとは思う。しかし、今回の件は単純に二国間に治る問題ではないとガキスケは捉えています。
その為に、まずは韓国の状況の考察から始めていきたい。
1. 韓国の状況
■韓国の少子化問題
下記のサイトを参考にすると、現在韓国は人口が5100万人規模であるが、これがまもなく減少に転じ、2067年には3365万人まで減少する見込みだ。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO43047760Y9A320C1FF2000?s=2
経済の一国の経済規模は個人の消費は人口規模に大きく依存する。ザックリした計算式で表すなら
総個人消費=人口 × 平均消費
で決まる。わかりやすいロジックだ。
ちなみにアメリカでは毎年人口が200万人増加し、労働者もだいたい10万人以上毎月増加し、かつ、平均賃金も上がっていることから、経済規模は黙ってても上がる。むしろ下がる方がおかしい。
韓国は海外からのフルタイム労働者を毎年10万人程度増加させているが、この規模を続けても人口減少対策としては焼け石に水だろう。
■貿易
韓国は経済規模において輸出割合が大きい。ここで、韓国の輸出先を見ると
1位 中国25%
2位 アメリカ12.2%
3位 ベトナム 8.2%
4位 香港 6.9%
5位日本4.7%
と圧倒的に中国です。日米合計よりも中国に大きく輸出しています。
次に輸入に関しても見てみましょう。
1位 中国 20.5%
2位 日本 11.5%
3位 アメリカ 10.5%
4位 ドイツ 4.2%
5位 サウジアラビア 4.1%
輸入に関しても中国が他国を圧倒的にリードしています。輸入に関しては日本からの輸入依存は輸出に比べて高いですが、今回の貿易問題で日本からの輸入は今後は減少していくことが見込まれます。
つまり、韓国は貿易に関しては大きく中国に依存している国家なわけです。韓国は防衛に関しては、日米と反中国に関わっていますが、経済では大きく中国に依存している矛盾した状況にあります。
■THAAD配備による中国との軋轢
THAADは発射されたミサイルを迎撃するミサイル防衛のことだが、これを配備したことで中国は韓国に怒り、二国間の関係は冷え込んでしまった。
私はこのミサイル防衛が本当に効果があるかわからないが、米国からすると、韓国に対して武器を販売できるメリットと中韓関係を悪くする狙いもあったのではないかと思う。
ところが韓中関係も最近は改善傾向にある。THAADに関して中韓で二国間で下記の合意をしたからだ。
(1)韓国内にTHAADを追加配備しない
(2)米国のミサイル防衛網(MD)に加わらない
(3)日米との軍事同盟を構築しない
中国は2・3に関しては特に満足したようだが、特に3はご満悦だろう。 確かに韓国は日米韓の三ヶ国同盟は結んでいないとはいえ、日本とはGSOMIAを結び、米国とは防衛同盟を結んでいる。
三ヶ国で連携を深めようというアメリカに対して、明らかに冷や水をかける内容だ。
■一帯一路
一帯一路とは中国が主導で、ユーラシア大陸に巨大な物流網を構築するインフラプロジェクトだが日米はこれに加わっていない(一部 日本企業は参加しているが、国としては正式には参加していない)。
一方で韓国はこれに参加している。
しかし、韓国からロシアや中国に陸上・鉄道輸送をするには北朝鮮がネックになる。逆を言えば、北朝鮮を通過できれば物流革命から韓国が受け取る利益は大きなものになる。
2. 韓国の考察
さてこうして見ると、韓国が置かれている状況が見えてくる。
まず内政的には人口減少から、韓国経済は日本同様に早晩行きつまる状況にあるわけだ。
外交的には、外需は中国に大きく依存しているため、中国に頭が上がらない状況がある。中国の影響力はアメリカよりも強いということもわかる。
つまり、韓国からすると、アメリカにつくよりも中国側についた方がメリットがあるわけだ。ここに今の日韓の軋轢の理由があるのではないか。
3. 韓国の狙い
昨今の慰安婦合意破棄、徴用工の韓国政府の対応、レーザー問題など韓国側にも言い分はあると思うが、文政権になってから日韓の外交問題は日増しに加熱していった。
この背景にあるのは、韓国が中国側につくことを目的に日本を挑発していることが理由ではなかろうか。
韓国は直接アメリカを叩くのではなく、挑発しやすい日本を煽り、反日運動を国内で強化する。アメリカからすれば、日本はもっとも従順な国で、特に安部首相と蜜月関係にトランプからしても面白くない話だ。
韓国の反日の狙いは日米の関係を悪化させ、最終的にはアメリカから韓国との同盟を破棄を言わせることが狙いにあると思われる。
中国側につくことで、韓国が期待できることは中国との関係強化に加えて、北朝鮮との関係も改善される。 同じ中国の参加になれば、先日文が公言した北朝鮮との経済協力も早期に実現可能だ。
3. 北朝鮮との経済協力の恩恵3点
a 北朝鮮の安価な労働力
北朝鮮の人口は現在2500万人程度。これは今後人口減少が始まる韓国にとってはありがたい話だ。まず言語が同じであるため、労働市場においてアンマッチが少ない。
また、北朝鮮で埋もれていた人口が経済活動に参加することで 新たな消費が産まれる。北朝鮮労働者の活躍は確実に韓国経済にプラスになるだろう。
b インフラ投資
経済協力が盛んになることで、北朝鮮へのインフラ投資も盛んになる。 単純な組立工場は北朝鮮が主流になり、設備投資中心に、北朝鮮への投資も盛んになる。
c 一帯一路
経済協力が盛んになることで、韓国は一帯一路の恩恵にあやかれる。ロシア・中国への陸上・鉄道輸送の強化は、新たな経済圏へのアクセスを容易にする。
韓国への輸入コストの低下に加え、輸出競争力にも繋がる。 現状、海上輸送のみだった韓国には、産業設備事業など陸路輸送の恩恵は大きいものになる。
4. まとめ
以上の考察から、韓国側の狙いは中国市場重視路線に加え、北朝鮮との経済関係を通じ、韓国経済を衰退から救う長期的背景があることは明らかだ。
韓国の狙いは、国際情勢・国内情勢の両方を勘案した経済政策がある。
今の日韓の貿易問題は、中国とアメリカの間に揺れる小国としての処世術なのだろう。