くら寿司から見える外食産業における食品安全の問題点。このままでは日本はテロ天国に。

 

 

 

2019年2月、くら寿司のアルバイト従業員不適切動画が世間を騒がせています。

 

色々な意見がある中で、ガキスケが気になるのはこの問題を「個人の問題」として扱っている傾向が強く、根本的な問題解決から遠ざかっていることです。

 

確かに、このバイト従業員はとんでもなくモラルが低く、自分自身が犯そうとしたことが「フードテロ」である認識が全くない。年齢関係なく、この行為は非常に愚かであるとガキスケも思います。

 

ですが、組織が問題解決するさいに

 

「個人が悪い」

 

で片づけるなら、その組織からは改善は望めそうもありません。

 

食品安全の管理においての大枠は

 

■組織・人材育成

⇒会社方針、人の管理、新人教育など

■衛生管理

⇒私物管理、手洗い管理、害虫・害獣対策、薬剤管理、アレルゲンなどなど

■フードテロ

⇒監視カメラ、ユニフォーム、外部侵入脆弱性の把握・対策などなど

 

大枠と3つの側面から様々な管理が求められます。

細かく書くと、ブログの範疇を超える文量になる世界です。

 

つまり、簡単ぢゃねーぞと。

 

で、この管理は食品製造は結構できてますが、倉庫系は弱かったりします。

 

以前、大手の冷蔵倉庫訪問したら綿タオルをトイレのタオルに使用しているところもありましたから(使い捨てのペーパータオルか、ジェットタオルでないとNG、使いまわす綿タオルでは雑菌が移るのでだめなのです)。

 

細かいとこまで理解できている企業は大手を含め少ない。つまり、完璧な食品安全は早々あるわけではないのです。

 

で、今回のくら寿司の問題点を大枠から考えると

 

■組織・人材育成

組織面から考えると、バイトだけに任せていた。ようは人の管理が行えていない状況がくら寿司の運営にはあるわけです。バイトが全員無責任というわけではないですが、ガキスケの経験上、学生バイトは責任感が低い人が多いです(あくまで私の経験上の話です。)。

 

私がいた倉庫だと最大20人につき一人責任者(班長)をつけ、現場管理をさせました。この班長もバイトなわけですけど、班長になる人の前提条件として

 

ー2年以上

ー作業手順を遵守し他の人に教えることができる

ー作業の熟練性が高い

ー他の従業員からの信頼されている

ー仕事に情熱がある

 

という前提条件がありました。まあ、信頼や情熱は定量化できない分、社員の任命責任は大きくなるわけですがね(失敗は社員が責任をとりますので)。

 

倉庫現場、しかも常温で食品安全管理が必要とされない現場でもこの水準でした。

 

ですが、くら寿司ではどうでしょうか?

 

正直、責任者とはほど遠い人だけに現場を任せたように思えます。私も以前、外食チャーンでバイトしたことありますけど、学生バイトだけの運営時間がありーの基準はかなりゆるゆるでした。

 

明らかに組織作りに問題はあるといえます。食品安全管理の観点からすれば、人づくり・人の管理体制に脆弱性があります。Food Safetyの監査をすれば組織の管理体制に「致命的」な評価を受けても仕方ないでしょう。

 

では対策は何か?

 

簡単な答えの一つとして提案することは「社員が仕事しろ(人の管理をしろ)」になります。

 

■衛生管理

衛生管理の基本に「私物管理」があります。

 

なぜ、厨房に私物を運ぶことができたのでしょうか?

 

ーポケットのないズボンにしてあるか?

ー私物の置き場所(鍵のかかるロッカー)を確保してあるか?

スマホは「不衛生である」ことを教育しているか?

ー厨房に監視カメラはつけているか?

ー管理者が私物の持ち込みに目を光らせているか?

ー私物の持ち込み禁止ルールを躾けているか?

 

スマホの持ち込み一つに、これだけの疑問がわいてきます。特に管理者が目が光らせること・躾けていることは重要で、ルールを定着させるための躾けはかなりエネルギーがかかる作業です。

 

逆に言えば、労力をかけて躾けなければ私物管理は徹底されずに、このような事態になります。

 

くら寿司のケースでは、目を光らせる管理者が不在とそもそも組織面に脆弱性があるため、ルールの定着を促すことができないだとガキスケは感じています。

 

■フードテロ

フードテロ概念では「不審者を侵入させない」ことが一番重要です。

 

今回のケースはあくまでいたずらであり、実際にはテロ行為に該当するものではありません。ただし、安易にバイトを採用し、バイトだけに任せる行為はテロし放題な環境であるともいえます。

 

現在の世論のが言うように

 

「モラルが低いやつには罰を与えればよい!」

 

という考えだけでは、フードテロのリスクはさがりません。なぜなら、テロは確信犯だからです。

 

つまり、食品安全の考えからテロし放題な現状にどのように外食産業は対策を講じるかは極めて重要な課題であるといえます。

 

まず、今回の事例から導ける対策としては組織・人材育成でも述べたように組織体制を見直し、このようないたずらを「やりたくてもできない」体制を作るべきです。それが、そのままテロ抑止力になります。

 

テロに対して意識が低いのは外食産業だけでなく、物流倉庫でも現状、監視カメラの普及率が低いなど、アメリカと比較し備えが十分ではありません。これを機に様々な産業でテロ対策も含めた食品安全管理を見直すべきです。

 

 終わりに

今回のくら寿司の不適切動画は、確かにバイトのモラルが低いことは要因として挙げることができます。一方で食品安全に関しては、バイトのモラルが低いからこんな事故がおきましたは言い訳にはできません。

 

そもそもバイトと正社員の最大の違いは仕事に対する「責任感」にあるといえます。

 

モラルが低いバイトが悪いという考え方はガキスケにやや違和感にも感じ、モラルが低いバイトも含めどう組織を作るか(またはバイトは採用しないか)が社員・企業の責務。これを機に外食産業は食品安全を根本から見直す必要があります。