ブラック企業に泣き寝入る日本の労働者

ブラック企業という言葉はここ10年くらいの間に出始めた言葉だけど、この問題がなくなる傾向は未だに見当たらない。というか、ブラック企業は今に始まった問題ではなく、人類が人を雇用した時から存在していました。

 

日本では戦前はタコ部屋という奴隷制度が存在し、戦後も黒部ダムでたくさんの死亡者が出たケースもありました。今よりかブラック度は高かったわけです。

 

ブラック企業」という言葉はここ10年くらいの労働問題の表現として登場してきているだけで、企業の労働者の扱いの悪さ、つまり労働問題は昔から存在していました。

 

1.ブラック企業問題の顕在化の背景とは

■社会不安の増加

ではなぜ「ブラック企業」と改めて労働問題が脚光を浴びているのかというと、一つには戦後、日本社会の一つのシステムであった終身雇用制度が崩壊し、更に派遣労働者の緩和により現在の暮らしや将来の展望が不安定な労働者が増えてきたことが要因です。

 

■法令知識の低さ

非正規労働者への人権意識を低く見ている経営者が多いことも事実です。

 

私の知り合いの経営者の一人は私と会うまでパートに有給を上げなければいけないことを知りませんでした。特に中小企業経営者のコンプライアンス知識の低さはこの問題に拍車をかけています。

 

■空気信仰による法令不順守

日本人はWスタンダードな統治社会です。「法令」の他に「空気」を掟として集団を統治している社会です。「空気」による支配については、今後別のブログで説明したいと思いますが、日本社会では普段の環境においてはこの「空気」が「法令」よりも重視されています。

 

空気は明文化されているものでもありませんが、なんとなく多数の意思統一がされたものに関しては、その集団・社会の中では法令よりも優先されます。空気こそ正義と勘違いして解雇する経営者は珍しくありません。 

 

例えば、ガキスケは以前

 

「お前が嫌いだから解雇な」

 

とガチで言われたことがありました。

 

確かに嫌われるというか、社長に対して喧嘩吹っ掛けるなど、空気読まなさすぎなことをしたのは事実なのですが(笑)(この空気読まない喧嘩は、いずれまた別ブログで紹介しようと思います)

 

ただし喧嘩をふっかけても、実績をあげていたガキスケは解雇される言われはありません。当初は退職金なしで即辞めてくれというブラックぶりでしたが、ガキスケが

 

「解雇通知を文章でください、労基と労組にそれをもって話にいくので」

 

の一言から社長の雰囲気が変わり、というか、腰がかなり低くなりました。

 

社長は私からの文書要求を受けてから社労士に確認し、解雇できないことを悟りました。ここにきて彼は空気は法令に勝てないことを彼は悟ったのです。

  

最終的には退職金相場の倍程度(まあ勤続年数がすくなかったので大した金ではないですけど)で退職に応じることにしました。ガキスケは身をもって法令意識が低く、空気信仰が高い日本企業の実態をこの時に経験しましたわけですが、こうしたことは珍しくありません。

 

空気により統治された企業(日本社会)はブラック企業を生み出す源泉になっています。何故ならば、この空気という掟において個人の主張や人権は重視されるものではないからです。

 

 2.ブラック企業は何故なくならないか

これまでの考察から企業は本来ブラックであること。さらに、意識の低さは労働法を無視する要因になっていることを明らかにしました。法律があるだけでは企業はブラックなままです。

 

労働問題で困っている労働者が、法で守られている権利を主張しなければ泣き寝入りするしかありません。そして日本では権利を主張しないで泣き寝入りしている労働者がほとんどです。

 

 つまりはブラック企業を存続している要素は泣き寝入りしている労働者にもあるわけです。

 

なぜ労働者は泣き寝入りするのでしょうか?

 

■権利の主張の難しさ

泣き寝入りする背景の一つに、日本では「権利ばかり主張して」という決め台詞があるように権利を主張することは悪であるという風潮があります。

 

 個人が権利をする主張することは、集団において「空気を読まない」行為に該当するため良く思われないケースは多々あります。権利を主張することが他人に迷惑・恥である、また権利の行使そのものが叩かれる要素になる。こうした「空気読め」の圧力が権利の主張を難しくしています。

 

最近だとわかりやすい例が貴乃花氏の行動です。彼が内閣へ告発したことは権利として守られるべきものですが、相撲協会や世間はそうした行為を「輪を乱す不届きもの」と散々叩きましたよね。

 

貴乃花氏に対しての圧力は相撲協会外からもあり、特にネットの圧力というか人権侵害はハッキリ言って異状で、先進国の国民がなすべき所業とは到底思えないありさまでした。

 

貴乃花氏のやりかたはかなり下手ではありましたが、彼の一件は空気を読まないことへの社会の攻撃性や権利の主張をすることが難しい日本社会の実態を明確に表していた事例として参考になります。

 

空気読めと権利を主張させない日本社会の一面は明らかに間違っていますが、現実問題として個人があらがうにはなかなかに難しく、泣き寝入りさせてしまう要因になっています。

 

 ■転職したほうが早い

最近では転職サイトの充実など、求人を探すことが便利な時代になりました。

 

そのため居心地の悪い会社にしがみつくよりか、さっさと転職したほうが楽であるということから泣き寝入りして辞めるケースが多くあります。

 

実際に会社と喧嘩するとなると時間と労力は半端なくかかります。ただし

 

「ブラックが嫌なら転職すればよい。そうした会社はいずれ人がいなくなる」

 

という考え方は今のところ機能していません。労働市場から淘汰されるという説は一件ありそうに私も感じます。

 

しかし、転職市場が活発になってもブラックが淘汰される兆しはありません。

 

というか、転職サイトにのっている企業はブラックのほうが多いです。

 

ガキスケは以前大手転職サイトの企業をネットの口コミチェックで確認しましたが、ブラックでないほうが珍しいという印象は受けました。

 

これは単純に考えれば

 

・優良企業は辞める人が少ない

ブラック企業は辞める人が多い

 

ということで、求人出している企業は傾向としてブラック企業がどうしても多くなってしまいます。

 

つまり、転職サイトを活用した求職活動はブラック市場で労働者が案件を探していることになります。ブラックばかりのためブラック企業が淘汰されない状況になっているのだと思います。

 

転職サイトでの転職は、転職結果が吉となればラッキーで基本ブラックであると覚悟したほうが良いでしょう。

 

 ■不当解雇における経済的な問題

会社と喧嘩したくても、解雇後の生活が心配になるところです。

 

不当解雇を勝ち取るにしても、それまでの期間の資金のため闘うことを諦めるのも一つの要因です。企業は資金があるため長期戦戦う体力はあります。しかし個人はそうはいきません。

 

企業側もそうした労働者の弱さに付け入っている面もあるでしょうね。

 

不当解雇で長期戦闘うとなると和解しない場合は早くても2-3年はかかります。この間は自営かアルバイトで凌ぐことになるので、やはり個人が闘うのはかなりの覚悟がいることになるのは事実です。 このことから、生活の安定のためどうしても泣き寝入りしています。

 

 3.泣き寝入りのままでよいのか?

2では労働者が泣き寝入りする理由に「権利主張の難しさ」「転職による環境変化」「経済的な問題」をあげました。現実問題として企業と喧嘩することは難しく、どうしても泣き寝入りせざる得ない状況が日本にはあります。

 

こうした現実問題含めた泣き寝入りの結果、ブラック企業は日本にはびこっています。労基署も労組も被害者本人が行動しないと助けてくれませんので、ブラック企業からすれば大喜びです。

 

 「泣き寝入りのままでよいのか?」の答えは、個々が決めるべき問題ではあります。しかし、日本社会のことを考えれば泣き寝入りはせず企業と立ち向かう姿勢は重要です。この問題は政府や行政だけの問題でなく、個々が問題を解決する姿勢が何よりも大事になります。

 

 4.泣き寝入りしたくない人のすべきこと

ここでは解雇を前提として話を進めます。 

 

闘う方々がすべきことは、まず在職中であれば主に2点。

 

■敵に攻撃材料は渡さないこと

会社はとにかくあなたを攻撃したくて仕方ないので、通常の業務はそつなくこなすようにしましょう。敵に余計な攻撃材料を渡すことは後々不利になりますので、この点は気を付けてください。

 

ちょっとしたミスなどで解雇することはできませんが、そうしたミスを指導という名であなたへの攻撃材料にしてきます。

 

■退職には応じないこと

これ凄く重要です。

 

一度退職に応じれば、その後は不当解雇として覆すことは難しくなります。更に、会社都合でないがために失業保険がもらえるのも申請してから3か月後になり、経済的にもかなり不利です。

 

不当解雇であれば会社都合になるので、決して退職には自分から応じないようにしてください。

 

会社から辞めない理由を聞かれれば

 

「生活がかかってるので辞めるわけにはいきません」

 

と答えれば良いだけです。退職には絶対に応じないでください。

 

5.不当解雇された人

不当解雇された人が不当解雇撤回を求めて戦う場合は、早くて2-3年の闘いになると思ってください。

 

不当解雇が裁判所に認められれば、復職ができ更に解雇から復職までに本来支払われるべきはずの賃金もあなたに支払われますので、この間はバイトで生活をしのいでいきましょう。

 

目的が不当解雇でなく退職金であるならば、職場復帰よりも闘う時間は少なくなると思います。会社側からしても長引いた挙句に敗訴となれば、負担額はバカになりませんので、早期決着は望んでいるはずです。

 

しかし個人で戦うにはやはり限界がありますので、長期戦になる場合は労働組合(社内に労組がない場合は外部労組)や弁護士と闘うようにしましょう。

 

費用面ですが弁護士は高いので、労組加入し闘ったほうが良いです。

 

労組の場合は基本は月額労組費用のみになります。ただし、労組によっては勝訴した場合にお礼金を要求する労組もあります。あとくされないように、勝訴した場合の費用負担については加入前に確認しましょう。

 

 

 最後に

個人的には会社からひどい目を受けている人は泣き寝入りせずにやりあってほしいです。一人の反抗はちっぽけなようでいて、腹をくくれば企業からしてもかなり負荷がかかる存在になります。

 

仲間を集めて会社の前で抗議集会するのも良いでしょう。

 

労働者が無抵抗であるがために会社は本来の姿であるブラック性を出しているだけで、一人一人が労働者の権利を主張すれば、今日のようなブラック企業問題は起こらないはずです。

 

労働組合は会社をつぶすから本末転倒だ!」

 

などという反論もよく目にしますが、今の現状は労働者が無抵抗にサンドバック状態なわけです。相手が一方的に殴り掛かってきているのに、こちらは無抵抗に殴られろって、どんだけマゾな発想なんだろうとガキスケは思います。

 

確かに労働者が強くなりすぎて、わがまま言いたい放題になる事態が発生すれば問題ですが、現状はやられっぱなしです。そんな極論を言う状況ではありません。

 

闘う人が一人でも増えれば、それは今の日本にとってはすごい貴重な人材であるといえます。世間の目などガン無視して、頑張ってください!