賃金が上がらない日本と賃金が上がるタイとその理由

日本もタイも少子高齢化で人不足という点では一緒ですが、一方で日本は賃金や物価が上がらず苦しんでいる一方で、タイでは賃金も物価も上がっています。

 

人不足という点で同じ両国で、なぜこうのような違いがでているのでしょうか?

 

■労働者に対しての異なる価値観

転職に関しては両国では価値観が大きく異なります。

 

タイでは労働者は極めて流動的に動きます。日本的価値観から言えば無責任と言えるほど自由に動き、会社で重要な職を任せられているタイ人スタッフも急にやめ転職してしまうというケースは珍しくありません。タイでは転職は当たり前のことで、2年くらいで次の職場に移動してしまいます(もちろん個人差はありますが)。

 

つまり労働者は転職することが当たり前で、転職回数はタイではマイナスになりません。

 

一方で日本では転職回数が多いと、その労働者の評価は下がります。終身雇用崩壊と言われながら日本ではいまだに、終身雇用マインドが残っており、転職回数が多いのは悪と労働市場ではマイナスに評価され、転職自体が困難になります。

 

タイと日本の差は大きく、タイでは条件が良い案件を聞けば、みなその職場に転職を試みますので、人不足の場合には必然的に人件費が労働市場で上がるように機能します。

 

一方で日本では転職回数があしかせになるため、転職を通じての賃金アップはタイほど機能しません。特に年齢が上がるにつて、転職もできにくくなることから、務めさきの企業が賃金アップしないかぎりは賃金が上がりにくい労働環境となっています。

 

■市場の将来性

タイはピークを越えたといえ安定的に経済成長見込みがありますが、日本の将来性は極めて厳しい状況です。

 

タイでも少子高齢化と労働者確保は厳しい状況がある一方で、合法・違法含めて諸外国から労働者がタイに働きにきており、タイ人で不足される仕事をタイ国近隣諸外国の出稼ぎ労働者がカバーし、かつ、そのまま消費者となることでタイ国の経済成長をささえています。まあ、トランプでるまでのアメリア経済のような感じですね。

 

一方で日本は移民による増加は依然厳しい状況が続き、かつ、人口減少がすでに始まっている社会において、専業主婦だった女性の労働参加や高齢者の労働者が増加した点に加え、一人暮らしが増え、つまり、世帯数の増加がこれまで日本の市場を支えてきました。

 

当然ですが、女性の労働参加には良い面もありますが、一方で専業主婦では家計を支え切れないという事情や、年金支払い時期の先延ばしや定額な国民年金では生活できないシニア層が労働者に転じている点もあり、内容としては苦しい状況です。

 

この苦しい状況ですが、世帯数ののびも2020年からは減少に転じるとされ、日本経済の将来性はかなり厳しく、そのため、各企業がなかなか賃金アップにできない社会的事情もあります。

 

労働組合

タイでは労働組合はなかなかにがめついようで、労働者の企業に対しての圧力は日本よりも盛んです。この背景は労働者不足と、労働者が強気にでれる環境も労働運動を後押ししています。

 

一方で日本の労働組合はかなり弱く、若者も労働組合で賃金アップを勝ち取る考えは薄いです。日本も労働者不足で、労働組合活動を通じて企業と交渉をすれば、賃金アップだけでなく、ブラック企業問題解消にもつながりますが、日本の労働者の権利意識の低さが自分たちの待遇改善を阻害している要因になっています。

 

■今後の日本の労働者が賃金を上げるためには

結論から言うと、日本から出ることが答えになります。

 

タイも物価が上がっているとは言え、実質賃金は日本時代よりもよくなりました。

また今後の経済成長がタイ、ベトナム、インドなどアジア諸外国では見込まれ、多くの活躍の場が日本の外にはあります。

 

日本での仕事では海外にでるための実技研修の場ととらえ、日本の外で活躍の場を求めることが、よりよい生活を手にする解決策になります。